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2005年 03月 04日
ミケルス死去
オランダの伝説的な指導者、リヌス・ミケルス(享年77歳)が3日、
ベルギーの病院で亡くなっていた。

どんな指導者だったのか、どういう人物だったのかは分からない。
「トータルフットボール=ヨハン・クライフ」の印象を受けるが、
実際はこのミケルスの考案によるものだとは知っている。

確かにクライフがいなければ成立しなかったらしいが、
各選手のポジションと役割が固定され、ゾーンディフェンスの思想と無縁の
ベタ付きマンツーマンディフェンスオンリーな時代、
あるいは、今と比較にならないほどの低い運動量の時代に、
予めポジションがないかのように選手が流動的に入れ替わるシステムは、
当時のファンを魅了し、現代までその手法の痕跡が見られることからも、
空前の革命だったはずで、
今後もこれほどの斬新な思想は生まれないのではないかと思う。

 トータルフットボールとは、換言すれば、ポジションチェンジのサッカーで、
センターフォワードのクライフがマーカーを引き連れて中盤に下がり、
空いたスペースにサイドの選手や中盤の選手が入り込み、
その空いたサイドのスペースにサイドバックが詰め、
その空いたスペースに別の中盤の選手かディフェンスの選手が
カバーすることによって、基本的な体制は変えずに誰もが攻撃参加できる。
また守備においても、近くの選手が奪取にかかり、
空いたスペースを他の選手が埋める。全員攻撃・全員守備のこのスタイルは、
全員で一斉に攻め守るのではなく(私は最初そう思ってた)、
侵入と補完の連続性・流動性を主眼としている。

 88年のユーロにおいても彼はオランダ代表監督を務め、
私が敬愛するライカールト、フリット、ファンバステン、クーマン兄弟、
ファネンブルグ、ミューレン、ファンアーレン・・・を要し、
流動性に富んだサッカーをしていた。

 「よっ!ジーコさん!プラティニさん!」的な役者選手花形時代から、
マラドーナ封じに端を発したゾーンプレスが生まれ、
それを引き継いだシステム偏重思考の20年を経て、いま、マドリーをはじめ、
個人技至上主義が再度見直されている。そんな中、
個人とシステムの融合を完遂したミケルスは、
いまどんな戦いをするのかできるのか。
高齢は重々承知の上で、彼の現場復帰を望んでいた。
彼の柔軟性を引き継げるのはクライフのみなのか。
近々、88年のミケルスが監督だった大会のビデオを見て夢想してみたい。

今回も長々と、しかも、マニアックな記事ですが、
現代サッカーの礎を築いた人の死にビックリしたので載せちゃいました。

by fez_maroc | 2005-03-04 12:38 | 【サッカー洗脳】


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